ニュースレター「サンゴ礁の自然環境」

2017年11月号

陸の中の海 ーアンキアライン洞窟でくらす不思議な生き物たちー

2018年3月号

サンゴの海の漁業

 琉球列島のアンキアラインには、写真に示したような多種多様な生き物が生息しています。目が小さかったり、色が薄かったりと不思議な形をしたものもいますね。このような見た目の動物は、世界中の洞窟から報告されています。しかし、それらの報告の多くは、真水の洞窟の生き物で、こと沖縄などのアンキアライン洞窟動物に関しては、ここに示したものですら、ここ10年ほどの間に新種として記載されたもの(写真2, C)や、まだ名前すらついていないもの(写真2, B)ばかりです。これらの生き物がどんな暮らしをしていて、どのようにこのアンキアラインにやってきたのかということは、ほとんど謎に包まれています。 未知のフロンティアは足元に さらに実はこのアンキアライン洞窟生物、そもそもどこの島のどの洞窟に何がいるかといった一番基本的なことすらまだ全然判っていません。筆者なんかは、このニュースレターを書いてる一週間前にとある洞窟内から新たにイソギンチャクの仲間(写真3)を発見しました。おそらくこの手の洞窟では初の事例でしょう。また、その後参加した日本洞窟学会では、別のチームがさらに3種以上の新たな洞窟生物を発見しています。このような未知の動物が潜んでいる水たまりは、琉球列島の島のそこら中の地面の下に存在しており、生き物たちは、今日も人知れず暗闇の中でひっそりと暮らし続けています。 宇宙でも深海でもないけれど、謎だらけの未知の世界は、意外にも、あなたのすぐ下に広がっています。一歩外に出て、そんな不思議な世界に思いを馳せてみませんか?へんてこな「海」の生き物の次の発見者はあなたかも知れません。
写真3:先週見つけた謎のイソギンチャク(研究中)。研究者たちはこうした生き物たちのことを知るためにDNA分析などの最新の技術を武器に立ち向かっていく。
小林 大純 Kobayashi Hirozumi 琉球大学大学院 理工学研究科 海洋自然科学専攻 博士前期課程 研究テーマ 回遊性魚類の暗所適応機構と その自然史
陸の中の海 ーアンキアライン洞窟でくらす不思議な生き物たちー
陸の中に「海」!? そういえば、「海」って一体何なのでしょう。 手元のPCを開き、検索してみてみます。こう出ました、「陸域以外の塩水に満たされた場所」と、そりゃあそうだとお思いのあなた。じゃあ陸の中に塩水に満たされた場所があったらどうします?そんなのあるわけない?ところがどっこい、どんなことにも例外はあるのです。というのも、なんと、ここ沖縄を含む琉球列島では、陸の中にも「海」があるんです。 今回は、そんな掟破りの「海」、アンキアラインとそこに暮らす不思議な生き物たちを紹介します。 満ち干きのある水たまり
写真1 琉球列島を代表するアンキアライン、徳之島のウンブキ洞、水はかなりしょっぱい。  沖縄県は、その県土の約30%が大昔のサンゴの亡骸である石灰岩で出来ており、日本でも有数の石灰岩地帯として知られています。沖縄県を含む琉球列島の石灰岩地域には、戦時中の避難場所としても利用された「ガマ」に代表される多くの鍾乳洞が点在しており、この中には、驚くことに、たまに中で海水が湧き出たり、溜まったりしていることがあります。このようなところの水を舐めると、陸にあるのに海と同じくしょっぱくてびっくりします。なぜこのようなことが起こるのでしょう? それは、島と海の歴史的な浮き沈みが関係しています。気が遠くなるような長い時間の単位で見ると、島の高さは上下しており、海も海面が高くなったり、低くなったりというサイクルを繰り返しています。この過程で、一度地上でできた鍾乳洞の一部が海に沈んで、沈んだ穴を通じて陸の穴と海が繋がったりするのです。こういう場所では、洞窟の水溜りが地下で海とつながっているので、陸にあるのに、海と同じように満潮と干潮で水面の高さが上がったり下がったりします。 このような、地下で海とつながり、その影響を受ける水場を、洞窟学の専門用語で「アンキアライン」と呼びます。この沖縄に多く在るアンキアラインと呼ばれる場所には、陸上の川とも普通の海とも異なる特殊な生き物たちが近年たくさん見つかっているんです。 アンキアラインの動物は謎だらけ
写真2 琉球列島のアンキアライン洞窟に出現する生き物たち。A: ドウクツヌマエビ Antecaridina lauensis, B: カワアナゴ属の1種 Eleotris sp., C: ドウクツモクズガニ Orcovita miruku, D: ウンブキアナゴ Xenoconger fryeri  琉球列島のアンキアラインには、写真に示したような多種多様な生き物が生息しています。目が小さかったり、色が薄かったりと不思議な形をしたものもいますね。このような見た目の動物は、世界中の洞窟から報告されています。しかし、それらの報告の多くは、真水の洞窟の生き物で、こと沖縄などのアンキアライン洞窟動物に関しては、ここに示したものですら、ここ10年ほどの間に新種として記載されたもの(写真2, C)や、まだ名前すらついていないもの(写真2, B)ばかりです。これらの生き物がどんな暮らしをしていて、どのようにこのアンキアラインにやってきたのかということは、ほとんど謎に包まれています。 未知のフロンティアは足元に さらに実はこのアンキアライン洞窟生物、そもそもどこの島のどの洞窟に何がいるかといった一番基本的なことすらまだ全然判っていません。筆者なんかは、このニュースレターを書いてる一週間前にとある洞窟内から新たにイソギンチャクの仲間(写真3)を発見しました。おそらくこの手の洞窟では初の事例でしょう。また、その後参加した日本洞窟学会では、別のチームがさらに3種以上の新たな洞窟生物を発見しています。このような未知の動物が潜んでいる水たまりは、琉球列島の島のそこら中の地面の下に存在しており、生き物たちは、今日も人知れず暗闇の中でひっそりと暮らし続けています。 宇宙でも深海でもないけれど、謎だらけの未知の世界は、意外にも、あなたのすぐ下に広がっています。一歩外に出て、そんな不思議な世界に思いを馳せてみませんか?へんてこな「海」の生き物の次の発見者はあなたかも知れません。
写真3:先週見つけた謎のイソギンチャク(研究中)。研究者たちはこうした生き物たちのことを知るためにDNA分析などの最新の技術を武器に立ち向かっていく。
小林 大純 Kobayashi Hirozumi 琉球大学大学院 理工学研究科 海洋自然科学専攻 博士前期課程 研究テーマ 回遊性魚類の暗所適応機構と その自然史
陸の中の海 ーアンキアライン洞窟でくらす不思議な生き物たちー
陸の中に「海」!? そういえば、「海」って一体何なのでしょう。 手元のPCを開き、検索してみてみます。こう出ました、「陸域以外の塩水に満たされた場所」と、そりゃあそうだとお思いのあなた。じゃあ陸の中に塩水に満たされた場所があったらどうします?そんなのあるわけない?ところがどっこい、どんなことにも例外はあるのです。というのも、なんと、ここ沖縄を含む琉球列島では、陸の中にも「海」があるんです。 今回は、そんな掟破りの「海」、アンキアラインとそこに暮らす不思議な生き物たちを紹介します。 満ち干きのある水たまり
写真1 琉球列島を代表するアンキアライン、徳之島のウンブキ洞、水はかなりしょっぱい。  沖縄県は、その県土の約30%が大昔のサンゴの亡骸である石灰岩で出来ており、日本でも有数の石灰岩地帯として知られています。沖縄県を含む琉球列島の石灰岩地域には、戦時中の避難場所としても利用された「ガマ」に代表される多くの鍾乳洞が点在しており、この中には、驚くことに、たまに中で海水が湧き出たり、溜まったりしていることがあります。このようなところの水を舐めると、陸にあるのに海と同じくしょっぱくてびっくりします。なぜこのようなことが起こるのでしょう? それは、島と海の歴史的な浮き沈みが関係しています。気が遠くなるような長い時間の単位で見ると、島の高さは上下しており、海も海面が高くなったり、低くなったりというサイクルを繰り返しています。この過程で、一度地上でできた鍾乳洞の一部が海に沈んで、沈んだ穴を通じて陸の穴と海が繋がったりするのです。こういう場所では、洞窟の水溜りが地下で海とつながっているので、陸にあるのに、海と同じように満潮と干潮で水面の高さが上がったり下がったりします。 このような、地下で海とつながり、その影響を受ける水場を、洞窟学の専門用語で「アンキアライン」と呼びます。この沖縄に多く在るアンキアラインと呼ばれる場所には、陸上の川とも普通の海とも異なる特殊な生き物たちが近年たくさん見つかっているんです。 アンキアラインの動物は謎だらけ
写真2 琉球列島のアンキアライン洞窟に出現する生き物たち。A: ドウクツヌマエビ Antecaridina lauensis, B: カワアナゴ属の1種 Eleotris sp., C: ドウクツモクズガニ Orcovita miruku, D: ウンブキアナゴ Xenoconger fryeri
 琉球列島のアンキアラインには、写真に示したような多種多様な生き物が生息しています。目が小さかったり、色が薄かったりと不思議な形をしたものもいますね。このような見た目の動物は、世界中の洞窟から報告されています。しかし、それらの報告の多くは、真水の洞窟の生き物で、こと沖縄などのアンキアライン洞窟動物に関しては、ここに示したものですら、ここ10年ほどの間に新種として記載されたもの(写真2, C)や、まだ名前すらついていないもの(写真2, B)ばかりです。これらの生き物がどんな暮らしをしていて、どのようにこのアンキアラインにやってきたのかということは、ほとんど謎に包まれています。 未知のフロンティアは足元に さらに実はこのアンキアライン洞窟生物、そもそもどこの島のどの洞窟に何がいるかといった一番基本的なことすらまだ全然判っていません。筆者なんかは、このニュースレターを書いてる一週間前にとある洞窟内から新たにイソギンチャクの仲間(写真3)を発見しました。おそらくこの手の洞窟では初の事例でしょう。また、その後参加した日本洞窟学会では、別のチームがさらに3種以上の新たな洞窟生物を発見しています。このような未知の動物が潜んでいる水たまりは、琉球列島の島のそこら中の地面の下に存在しており、生き物たちは、今日も人知れず暗闇の中でひっそりと暮らし続けています。 宇宙でも深海でもないけれど、謎だらけの未知の世界は、意外にも、あなたのすぐ下に広がっています。一歩外に出て、そんな不思議な世界に思いを馳せてみませんか?へんてこな「海」の生き物の次の発見者はあなたかも知れません。
写真3:先週見つけた謎のイソギンチャク(研究中)。研究者たちはこうした生き物たちのことを知るためにDNA分析などの最新の技術を武器に立ち向かっていく。
小林 大純 Kobayashi Hirozumi 琉球大学大学院 理工学研究科 海洋自然科学専攻 博士前期課程 研究テーマ 回遊性魚類の暗所適応機構と その自然史
陸の中の海 ーアンキアライン洞窟でくらす不思議な生き物たちー
陸の中に「海」!? そういえば、「海」って一体何なのでしょう。 手元のPCを開き、検索してみてみます。こう出ました、「陸域以外の塩水に満たされた場所」と、そりゃあそうだとお思いのあなた。じゃあ陸の中に塩水に満たされた場所があったらどうします?そんなのあるわけない?ところがどっこい、どんなことにも例外はあるのです。というのも、なんと、ここ沖縄を含む琉球列島では、陸の中にも「海」があるんです。 今回は、そんな掟破りの「海」、アンキアラインとそこに暮らす不思議な生き物たちを紹介します。 満ち干きのある水たまり
写真1 琉球列島を代表するアンキアライン、徳之島のウンブキ洞、水はかなりしょっぱい。
 沖縄県は、その県土の約30%が大昔のサンゴの亡骸である石灰岩で出来ており、日本でも有数の石灰岩地帯として知られています。沖縄県を含む琉球列島の石灰岩地域には、戦時中の避難場所としても利用された「ガマ」に代表される多くの鍾乳洞が点在しており、この中には、驚くことに、たまに中で海水が湧き出たり、溜まったりしていることがあります。このようなところの水を舐めると、陸にあるのに海と同じくしょっぱくてびっくりします。なぜこのようなことが起こるのでしょう? それは、島と海の歴史的な浮き沈みが関係しています。気が遠くなるような長い時間の単位で見ると、島の高さは上下しており、海も海面が高くなったり、低くなったりというサイクルを繰り返しています。この過程で、一度地上でできた鍾乳洞の一部が海に沈んで、沈んだ穴を通じて陸の穴と海が繋がったりするのです。こういう場所では、洞窟の水溜りが地下で海とつながっているので、陸にあるのに、海と同じように満潮と干潮で水面の高さが上がったり下がったりします。 このような、地下で海とつながり、その影響を受ける水場を、洞窟学の専門用語で「アンキアライン」と呼びます。この沖縄に多く在るアンキアラインと呼ばれる場所には、陸上の川とも普通の海とも異なる特殊な生き物たちが近年たくさん見つかっているんです。 アンキアラインの動物は謎だらけ
写真2 琉球列島のアンキアライン洞窟に出現する生き物たち。A: ドウクツヌマエビ Antecaridina lauensis, B: カワアナゴ属の1種 Eleotris sp., C: ドウクツモクズガニ Orcovita miruku, D: ウンブキアナゴ Xenoconger fryeri
 琉球列島のアンキアラインには、写真に示したような多種多様な生き物が生息しています。目が小さかったり、色が薄かったりと不思議な形をしたものもいますね。このような見た目の動物は、世界中の洞窟から報告されています。しかし、それらの報告の多くは、真水の洞窟の生き物で、こと沖縄などのアンキアライン洞窟動物に関しては、ここに示したものですら、ここ10年ほどの間に新種として記載されたもの(写真2, C)や、まだ名前すらついていないもの(写真2, B)ばかりです。これらの生き物がどんな暮らしをしていて、どのようにこのアンキアラインにやってきたのかということは、ほとんど謎に包まれています。 未知のフロンティアは足元に さらに実はこのアンキアライン洞窟生物、そもそもどこの島のどの洞窟に何がいるかといった一番基本的なことすらまだ全然判っていません。筆者なんかは、このニュースレターを書いてる一週間前にとある洞窟内から新たにイソギンチャクの仲間(写真3)を発見しました。おそらくこの手の洞窟では初の事例でしょう。また、その後参加した日本洞窟学会では、別のチームがさらに3種以上の新たな洞窟生物を発見しています。このような未知の動物が潜んでいる水たまりは、琉球列島の島のそこら中の地面の下に存在しており、生き物たちは、今日も人知れず暗闇の中でひっそりと暮らし続けています。 宇宙でも深海でもないけれど、謎だらけの未知の世界は、意外にも、あなたのすぐ下に広がっています。一歩外に出て、そんな不思議な世界に思いを馳せてみませんか?へんてこな「海」の生き物の次の発見者はあなたかも知れません。
写真3:先週見つけた謎のイソギンチャク(研究中)。研究者たちはこうした生き物たちのことを知るためにDNA分析などの最新の技術を武器に立ち向かっていく。
小林 大純 Kobayashi Hirozumi 琉球大学大学院 理工学研究科 海洋自然科学専攻 博士前期課程 研究テーマ 回遊性魚類の暗所適応機構と その自然史
陸の中の海 ーアンキアライン洞窟でくらす不思議な生き物たちー
陸の中に「海」!? そういえば、「海」って一体何なのでしょう。 手元のPCを開き、検索してみてみます。こう出ました、「陸域以外の塩水に満たされた場所」と、そりゃあそうだとお思いのあなた。じゃあ陸の中に塩水に満たされた場所があったらどうします?そんなのあるわけない?ところがどっこい、どんなことにも例外はあるのです。というのも、なんと、ここ沖縄を含む琉球列島では、陸の中にも「海」があるんです。 今回は、そんな掟破りの「海」、アンキアラインとそこに暮らす不思議な生き物たちを紹介します。 満ち干きのある水たまり
写真1 琉球列島を代表するアンキアライン、徳之島のウンブキ洞、水はかなりしょっぱい。
 沖縄県は、その県土の約30%が大昔のサンゴの亡骸である石灰岩で出来ており、日本でも有数の石灰岩地帯として知られています。沖縄県を含む琉球列島の石灰岩地域には、戦時中の避難場所としても利用された「ガマ」に代表される多くの鍾乳洞が点在しており、この中には、驚くことに、たまに中で海水が湧き出たり、溜まったりしていることがあります。このようなところの水を舐めると、陸にあるのに海と同じくしょっぱくてびっくりします。なぜこのようなことが起こるのでしょう? それは、島と海の歴史的な浮き沈みが関係しています。気が遠くなるような長い時間の単位で見ると、島の高さは上下しており、海も海面が高くなったり、低くなったりというサイクルを繰り返しています。この過程で、一度地上でできた鍾乳洞の一部が海に沈んで、沈んだ穴を通じて陸の穴と海が繋がったりするのです。こういう場所では、洞窟の水溜りが地下で海とつながっているので、陸にあるのに、海と同じように満潮と干潮で水面の高さが上がったり下がったりします。 このような、地下で海とつながり、その影響を受ける水場を、洞窟学の専門用語で「アンキアライン」と呼びます。この沖縄に多く在るアンキアラインと呼ばれる場所には、陸上の川とも普通の海とも異なる特殊な生き物たちが近年たくさん見つかっているんです。 アンキアラインの動物は謎だらけ
写真2 琉球列島のアンキアライン洞窟に出現する生き物たち。A: ドウクツヌマエビ Antecaridina lauensis, B: カワアナゴ属の1種 Eleotris sp., C: ドウクツモクズガニ Orcovita miruku, D: ウンブキアナゴ Xenoconger fryeri  琉球列島のアンキアラインには、写真に示したような多種多様な生き物が生息しています。目が小さかったり、色が薄かったりと不思議な形をしたものもいますね。このような見た目の動物は、世界中の洞窟から報告されています。しかし、それらの報告の多くは、真水の洞窟の生き物で、こと沖縄などのアンキアライン洞窟動物に関しては、ここに示したものですら、ここ10年ほどの間に新種として記載されたもの(写真2, C)や、まだ名前すらついていないもの(写真2, B)ばかりです。これらの生き物がどんな暮らしをしていて、どのようにこのアンキアラインにやってきたのかということは、ほとんど謎に包まれています。 未知のフロンティアは足元に さらに実はこのアンキアライン洞窟生物、そもそもどこの島のどの洞窟に何がいるかといった一番基本的なことすらまだ全然判っていません。筆者なんかは、このニュースレターを書いてる一週間前にとある洞窟内から新たにイソギンチャクの仲間(写真3)を発見しました。おそらくこの手の洞窟では初の事例でしょう。また、その後参加した日本洞窟学会では、別のチームがさらに3種以上の新たな洞窟生物を発見しています。このような未知の動物が潜んでいる水たまりは、琉球列島の島のそこら中の地面の下に存在しており、生き物たちは、今日も人知れず暗闇の中でひっそりと暮らし続けています。 宇宙でも深海でもないけれど、謎だらけの未知の世界は、意外にも、あなたのすぐ下に広がっています。一歩外に出て、そんな不思議な世界に思いを馳せてみませんか?へんてこな「海」の生き物の次の発見者はあなたかも知れません。
写真3:先週見つけた謎のイソギンチャク(研究中)。研究者たちはこうした生き物たちのことを知るためにDNA分析などの最新の技術を武器に立ち向かっていく。
小林 大純 Kobayashi Hirozumi 琉球大学大学院 理工学研究科 海洋自然科学専攻 博士前期課程 研究テーマ 回遊性魚類の暗所適応機構と その自然史