ニュースレター「サンゴ礁の自然環境」

2017年5月号

沖縄の熱いビール文化 ~知られざるサンゴとビールの関係~
 こちらは南ドイツのスタイルを模した、石垣島ビールの「ヴェイツェン」。泡立ちがよく、フルーティーな香りが特徴的です。石垣島ビールのこだわりは、ビール酵母を生きたまま提供していること。酵母はサプリメントにされるほど、栄養価が高いのです。しかし、一般の生ビールでは、酵母は取り除かれているのです。というのも、この酵母は生きたままにすると発酵が進み、長期保存ができず、大量生産して保管が難しいのだそうです。その点、地産地消のクラフトビールだからできる酒造法なのです。 サンゴとビール さて、本題のサンゴとビールです。単純にビールの中にサンゴが入っていたりするわけではありません。実は、意外な方法で関わっていました。
 こちらは、南都酒造所さんの正真正銘サンゴビール、「OKINAWA SANGO BEER ALT」です。このビールを作る、「水」に答えが隠されていました。 沖縄県の南城市には、サンゴ礁から生まれた鍾乳洞「玉泉洞」があります。そこからくみ上げられる水は、サンゴ礁が作り上げた石灰層を経由してくみ上げられるため、カルシウムやミネラルが豊富な水なのです。この南都酒造所さんは、ビールの9割を占める大事な素材である「水」にこだわり、この水を100%使用した「OKINAWA SANGO BEER」を提供しています。4種類ある中から、ALTというビールを頂きましたが、ほろ苦さと、口の中に広がる深い味わいが印象的でした。まさかビール造りにも、沖縄県はサンゴの恩恵にあずかっているとは衝撃でした。 文化を知ること 今回のイベントを通じて、沖縄県ではビール造りに対しても非常に地域の特性が見られることを再認識できました。観光の地域としてのイメージが強いだけに、未だ知られていない沖縄の文化を県外の方に認知してもらうことはなかなか難しいのかもしれません。ですが、県の人たちは県の特徴をうまく活用して、日々沖縄の良さを発信しています。 それは、環境問題としてのサンゴも同じです。サンゴになじみのない人にとっては、環境問題として騒がれていても、どうしても深く配慮することはできないと思います。今回ご紹介したビールという形のように、様々なルートや形でこれまでに係りがなかった人々が、地域の文化や問題に触れることが大切だと感じました。筆者自身、これからも、楽しく、(おいしく)、沖縄の魅力を発見していきたいと思いました。 執筆者 和泉 遼太郎
沖縄の熱いビール文化 ~知られざるサンゴとビールの関係~
 みなさん、お酒といえば何を思い浮かべますか?沢山ありますが、とりあえず、乾杯はビールで!なんて方が多いのではないでしょうか。筆者もその一人です。 沖縄県では、地域性溢れる、ビール文化が盛んです。一つの特徴として、オリオンビールをはじめ、その暖かな気候や風土にあった、すっきりとした味わいのビールが人気です。今回は、沖縄の気候よりも熱い、沖縄県のビール文化をご紹介したいと思います。 沖縄県のビール文化 お酒を飲むって、楽しいですよね。お酒を囲んで、いろんな人とざっくばらんに打ち解けあうことができる、ときには嫌な事を忘れさせてくれる、など人によって楽しみ方は様々です。沖縄県では、ご先祖祭りや、大規模な結婚式など、人が集まる文化が多いのが特徴的であり、大人数でお酒を囲む機会が多いです。その影響もあり、独自のお酒の文化が発展していったのではないかと思います。 沖縄県では最近、県産のキビ糖を使ったエールビールが発売されました。なかにはゴーヤーを使ったビールも販売されています。ゴーヤーと聞くと、驚きですが、ビールの苦みとゴーヤーの苦みが上手く合わさって美味しいのだそうです。また数年前から、クラフトビール造りも活気づいてきています。クラフトビールとは、厳密な定義はありませんが、小規模で、独立した醸造所で作られるビールを指します。そのため、その醸造所のある地域でしか飲むことが出来ないビールが多く、地域性が表れます。沖縄県では、本島のみならず、石垣島や宮古島でもこのクラフトビール造りが盛んです。このように、沖縄県では県産の素材や、地域性を活かしたビールを味わう機会にとても恵まれているのです。 そんな沖縄のビールたちを味わうイベント 日本で最も歴史があり、様々なビールを味わえるイベント、「ビアフェス2017」が先日、那覇市にて開催されました。こちらは例年、東京や大阪などの大都市と並んで、沖縄でも開催されています。それほど沖縄県のビール文化が根強く、支持されていることがうかがえますね。 こんなことを書き出しているのでお分かりかもしれませんが、参加してきました。ただただお酒を飲みに行ったわけではありませんよ?取材です、、取材(夢中になり過ぎて、ここで載せる予定だった会場全体の写真を撮り忘れました)。このイベントでは、主に沖縄県の独自のビールが提供されており、珍しいビールも沢山ありました。沖縄県のビール文化に触れるには、まさにうってつけのイベントです。今回はこのイベントで提供されているビールから、沖縄県のビール文化に迫っていきます。
 こちらは冒頭でご紹介した、ゴーヤーを使ったビール、ヘリオスクラフトビールさんの「ゴーヤーDRY」です。すっきりとした喉ごしで、かすかに感じるゴーヤーの苦みも、ビールの味を邪魔することなく見事マッチングしていました。うだるような暑さの中で、キンキンに冷やして飲みたいビールです。沖縄県を代表する野菜として、ちゃんぷるーなどの料理だけでなく、ビールに使ってみることは、野菜としての可能性を感じさせ、観光客の目を惹くことのできる素敵な提供の在り方だと思いました。
 こちらは南ドイツのスタイルを模した、石垣島ビールの「ヴェイツェン」。泡立ちがよく、フルーティーな香りが特徴的です。石垣島ビールのこだわりは、ビール酵母を生きたまま提供していること。酵母はサプリメントにされるほど、栄養価が高いのです。しかし、一般の生ビールでは、酵母は取り除かれているのです。というのも、この酵母は生きたままにすると発酵が進み、長期保存ができず、大量生産して保管が難しいのだそうです。その点、地産地消のクラフトビールだからできる酒造法なのです。 サンゴとビール さて、本題のサンゴとビールです。単純にビールの中にサンゴが入っていたりするわけではありません。実は、意外な方法で関わっていました。
 こちらは、南都酒造所さんの正真正銘サンゴビール、「OKINAWA SANGO BEER ALT」です。このビールを作る、「水」に答えが隠されていました。 沖縄県の南城市には、サンゴ礁から生まれた鍾乳洞「玉泉洞」があります。そこからくみ上げられる水は、サンゴ礁が作り上げた石灰層を経由してくみ上げられるため、カルシウムやミネラルが豊富な水なのです。この南都酒造所さんは、ビールの9割を占める大事な素材である「水」にこだわり、この水を100%使用した「OKINAWA SANGO BEER」を提供しています。4種類ある中から、ALTというビールを頂きましたが、ほろ苦さと、口の中に広がる深い味わいが印象的でした。まさかビール造りにも、沖縄県はサンゴの恩恵にあずかっているとは衝撃でした。 文化を知ること 今回のイベントを通じて、沖縄県ではビール造りに対しても非常に地域の特性が見られることを再認識できました。観光の地域としてのイメージが強いだけに、未だ知られていない沖縄の文化を県外の方に認知してもらうことはなかなか難しいのかもしれません。ですが、県の人たちは県の特徴をうまく活用して、日々沖縄の良さを発信しています。 それは、環境問題としてのサンゴも同じです。サンゴになじみのない人にとっては、環境問題として騒がれていても、どうしても深く配慮することはできないと思います。今回ご紹介したビールという形のように、様々なルートや形でこれまでに係りがなかった人々が、地域の文化や問題に触れることが大切だと感じました。筆者自身、これからも、楽しく、(おいしく)、沖縄の魅力を発見していきたいと思いました。 執筆者 和泉 遼太郎
沖縄の熱いビール文化 ~知られざるサンゴとビールの関係~
 みなさん、お酒といえば何を思い浮かべますか?沢山ありますが、とりあえず、乾杯はビールで!なんて方が多いのではないでしょうか。筆者もその一人です。 沖縄県では、地域性溢れる、ビール文化が盛んです。一つの特徴として、オリオンビールをはじめ、その暖かな気候や風土にあった、すっきりとした味わいのビールが人気です。今回は、沖縄の気候よりも熱い、沖縄県のビール文化をご紹介したいと思います。 沖縄県のビール文化 お酒を飲むって、楽しいですよね。お酒を囲んで、いろんな人とざっくばらんに打ち解けあうことができる、ときには嫌な事を忘れさせてくれる、など人によって楽しみ方は様々です。沖縄県では、ご先祖祭りや、大規模な結婚式など、人が集まる文化が多いのが特徴的であり、大人数でお酒を囲む機会が多いです。その影響もあり、独自のお酒の文化が発展していったのではないかと思います。 沖縄県では最近、県産のキビ糖を使ったエールビールが発売されました。なかにはゴーヤーを使ったビールも販売されています。ゴーヤーと聞くと、驚きですが、ビールの苦みとゴーヤーの苦みが上手く合わさって美味しいのだそうです。また数年前から、クラフトビール造りも活気づいてきています。クラフトビールとは、厳密な定義はありませんが、小規模で、独立した醸造所で作られるビールを指します。そのため、その醸造所のある地域でしか飲むことが出来ないビールが多く、地域性が表れます。沖縄県では、本島のみならず、石垣島や宮古島でもこのクラフトビール造りが盛んです。このように、沖縄県では県産の素材や、地域性を活かしたビールを味わう機会にとても恵まれているのです。 そんな沖縄のビールたちを味わうイベント 日本で最も歴史があり、様々なビールを味わえるイベント、「ビアフェス2017」が先日、那覇市にて開催されました。こちらは例年、東京や大阪などの大都市と並んで、沖縄でも開催されています。それほど沖縄県のビール文化が根強く、支持されていることがうかがえますね。 こんなことを書き出しているのでお分かりかもしれませんが、参加してきました。ただただお酒を飲みに行ったわけではありませんよ?取材です、、取材(夢中になり過ぎて、ここで載せる予定だった会場全体の写真を撮り忘れました)。このイベントでは、主に沖縄県の独自のビールが提供されており、珍しいビールも沢山ありました。沖縄県のビール文化に触れるには、まさにうってつけのイベントです。今回はこのイベントで提供されているビールから、沖縄県のビール文化に迫っていきます。
 こちらは冒頭でご紹介した、ゴーヤーを使ったビール、ヘリオスクラフトビールさんの「ゴーヤーDRY」です。すっきりとした喉ごしで、かすかに感じるゴーヤーの苦みも、ビールの味を邪魔することなく見事マッチングしていました。うだるような暑さの中で、キンキンに冷やして飲みたいビールです。沖縄県を代表する野菜として、ちゃんぷるーなどの料理だけでなく、ビールに使ってみることは、野菜としての可能性を感じさせ、観光客の目を惹くことのできる素敵な提供の在り方だと思いました。
 こちらは南ドイツのスタイルを模した、石垣島ビールの「ヴェイツェン」。泡立ちがよく、フルーティーな香りが特徴的です。石垣島ビールのこだわりは、ビール酵母を生きたまま提供していること。酵母はサプリメントにされるほど、栄養価が高いのです。しかし、一般の生ビールでは、酵母は取り除かれているのです。というのも、この酵母は生きたままにすると発酵が進み、長期保存ができず、大量生産して保管が難しいのだそうです。その点、地産地消のクラフトビールだからできる酒造法なのです。 サンゴとビール さて、本題のサンゴとビールです。単純にビールの中にサンゴが入っていたりするわけではありません。実は、意外な方法で関わっていました。
 こちらは、南都酒造所さんの正真正銘サンゴビール、「OKINAWA SANGO BEER ALT」です。このビールを作る、「水」に答えが隠されていました。 沖縄県の南城市には、サンゴ礁から生まれた鍾乳洞「玉泉洞」があります。そこからくみ上げられる水は、サンゴ礁が作り上げた石灰層を経由してくみ上げられるため、カルシウムやミネラルが豊富な水なのです。この南都酒造所さんは、ビールの9割を占める大事な素材である「水」にこだわり、この水を100%使用した「OKINAWA SANGO BEER」を提供しています。4種類ある中から、ALTというビールを頂きましたが、ほろ苦さと、口の中に広がる深い味わいが印象的でした。まさかビール造りにも、沖縄県はサンゴの恩恵にあずかっているとは衝撃でした。 文化を知ること 今回のイベントを通じて、沖縄県ではビール造りに対しても非常に地域の特性が見られることを再認識できました。観光の地域としてのイメージが強いだけに、未だ知られていない沖縄の文化を県外の方に認知してもらうことはなかなか難しいのかもしれません。ですが、県の人たちは県の特徴をうまく活用して、日々沖縄の良さを発信しています。 それは、環境問題としてのサンゴも同じです。サンゴになじみのない人にとっては、環境問題として騒がれていても、どうしても深く配慮することはできないと思います。今回ご紹介したビールという形のように、様々なルートや形でこれまでに係りがなかった人々が、地域の文化や問題に触れることが大切だと感じました。筆者自身、これからも、楽しく、(おいしく)、沖縄の魅力を発見していきたいと思いました。 執筆者 和泉 遼太郎
沖縄の熱いビール文化 ~知られざるサンゴとビールの関係~
 みなさん、お酒といえば何を思い浮かべますか?沢山ありますが、とりあえず、乾杯はビールで!なんて方が多いのではないでしょうか。筆者もその一人です。 沖縄県では、地域性溢れる、ビール文化が盛んです。一つの特徴として、オリオンビールをはじめ、その暖かな気候や風土にあった、すっきりとした味わいのビールが人気です。今回は、沖縄の気候よりも熱い、沖縄県のビール文化をご紹介したいと思います。 沖縄県のビール文化 お酒を飲むって、楽しいですよね。お酒を囲んで、いろんな人とざっくばらんに打ち解けあうことができる、ときには嫌な事を忘れさせてくれる、など人によって楽しみ方は様々です。沖縄県では、ご先祖祭りや、大規模な結婚式など、人が集まる文化が多いのが特徴的であり、大人数でお酒を囲む機会が多いです。その影響もあり、独自のお酒の文化が発展していったのではないかと思います。 沖縄県では最近、県産のキビ糖を使ったエールビールが発売されました。なかにはゴーヤーを使ったビールも販売されています。ゴーヤーと聞くと、驚きですが、ビールの苦みとゴーヤーの苦みが上手く合わさって美味しいのだそうです。また数年前から、クラフトビール造りも活気づいてきています。クラフトビールとは、厳密な定義はありませんが、小規模で、独立した醸造所で作られるビールを指します。そのため、その醸造所のある地域でしか飲むことが出来ないビールが多く、地域性が表れます。沖縄県では、本島のみならず、石垣島や宮古島でもこのクラフトビール造りが盛んです。このように、沖縄県では県産の素材や、地域性を活かしたビールを味わう機会にとても恵まれているのです。 そんな沖縄のビールたちを味わうイベント 日本で最も歴史があり、様々なビールを味わえるイベント、「ビアフェス2017」が先日、那覇市にて開催されました。こちらは例年、東京や大阪などの大都市と並んで、沖縄でも開催されています。それほど沖縄県のビール文化が根強く、支持されていることがうかがえますね。 こんなことを書き出しているのでお分かりかもしれませんが、参加してきました。ただただお酒を飲みに行ったわけではありませんよ?取材です、、取材(夢中になり過ぎて、ここで載せる予定だった会場全体の写真を撮り忘れました)。このイベントでは、主に沖縄県の独自のビールが提供されており、珍しいビールも沢山ありました。沖縄県のビール文化に触れるには、まさにうってつけのイベントです。今回はこのイベントで提供されているビールから、沖縄県のビール文化に迫っていきます。
 こちらは冒頭でご紹介した、ゴーヤーを使ったビール、ヘリオスクラフトビールさんの「ゴーヤーDRY」です。すっきりとした喉ごしで、かすかに感じるゴーヤーの苦みも、ビールの味を邪魔することなく見事マッチングしていました。うだるような暑さの中で、キンキンに冷やして飲みたいビールです。沖縄県を代表する野菜として、ちゃんぷるーなどの料理だけでなく、ビールに使ってみることは、野菜としての可能性を感じさせ、観光客の目を惹くことのできる素敵な提供の在り方だと思いました。
 こちらは南ドイツのスタイルを模した、石垣島ビールの「ヴェイツェン」。泡立ちがよく、フルーティーな香りが特徴的です。石垣島ビールのこだわりは、ビール酵母を生きたまま提供していること。酵母はサプリメントにされるほど、栄養価が高いのです。しかし、一般の生ビールでは、酵母は取り除かれているのです。というのも、この酵母は生きたままにすると発酵が進み、長期保存ができず、大量生産して保管が難しいのだそうです。その点、地産地消のクラフトビールだからできる酒造法なのです。 サンゴとビール さて、本題のサンゴとビールです。単純にビールの中にサンゴが入っていたりするわけではありません。実は、意外な方法で関わっていました。
 こちらは、南都酒造所さんの正真正銘サンゴビール、「OKINAWA SANGO BEER ALT」です。このビールを作る、「水」に答えが隠されていました。 沖縄県の南城市には、サンゴ礁から生まれた鍾乳洞「玉泉洞」があります。そこからくみ上げられる水は、サンゴ礁が作り上げた石灰層を経由してくみ上げられるため、カルシウムやミネラルが豊富な水なのです。この南都酒造所さんは、ビールの9割を占める大事な素材である「水」にこだわり、この水を100%使用した「OKINAWA SANGO BEER」を提供しています。4種類ある中から、ALTというビールを頂きましたが、ほろ苦さと、口の中に広がる深い味わいが印象的でした。まさかビール造りにも、沖縄県はサンゴの恩恵にあずかっているとは衝撃でした。 文化を知ること 今回のイベントを通じて、沖縄県ではビール造りに対しても非常に地域の特性が見られることを再認識できました。観光の地域としてのイメージが強いだけに、未だ知られていない沖縄の文化を県外の方に認知してもらうことはなかなか難しいのかもしれません。ですが、県の人たちは県の特徴をうまく活用して、日々沖縄の良さを発信しています。 それは、環境問題としてのサンゴも同じです。サンゴになじみのない人にとっては、環境問題として騒がれていても、どうしても深く配慮することはできないと思います。今回ご紹介したビールという形のように、様々なルートや形でこれまでに係りがなかった人々が、地域の文化や問題に触れることが大切だと感じました。筆者自身、これからも、楽しく、(おいしく)、沖縄の魅力を発見していきたいと思いました。 執筆者 和泉 遼太郎
沖縄の熱いビール文化 ~知られざるサンゴとビールの関係~
 みなさん、お酒といえば何を思い浮かべますか?沢山ありますが、とりあえず、乾杯はビールで!なんて方が多いのではないでしょうか。筆者もその一人です。 沖縄県では、地域性溢れる、ビール文化が盛んです。一つの特徴として、オリオンビールをはじめ、その暖かな気候や風土にあった、すっきりとした味わいのビールが人気です。今回は、沖縄の気候よりも熱い、沖縄県のビール文化をご紹介したいと思います。 沖縄県のビール文化 お酒を飲むって、楽しいですよね。お酒を囲んで、いろんな人とざっくばらんに打ち解けあうことができる、ときには嫌な事を忘れさせてくれる、など人によって楽しみ方は様々です。沖縄県では、ご先祖祭りや、大規模な結婚式など、人が集まる文化が多いのが特徴的であり、大人数でお酒を囲む機会が多いです。その影響もあり、独自のお酒の文化が発展していったのではないかと思います。 沖縄県では最近、県産のキビ糖を使ったエールビールが発売されました。なかにはゴーヤーを使ったビールも販売されています。ゴーヤーと聞くと、驚きですが、ビールの苦みとゴーヤーの苦みが上手く合わさって美味しいのだそうです。また数年前から、クラフトビール造りも活気づいてきています。クラフトビールとは、厳密な定義はありませんが、小規模で、独立した醸造所で作られるビールを指します。そのため、その醸造所のある地域でしか飲むことが出来ないビールが多く、地域性が表れます。沖縄県では、本島のみならず、石垣島や宮古島でもこのクラフトビール造りが盛んです。このように、沖縄県では県産の素材や、地域性を活かしたビールを味わう機会にとても恵まれているのです。 そんな沖縄のビールたちを味わうイベント 日本で最も歴史があり、様々なビールを味わえるイベント、「ビアフェス2017」が先日、那覇市にて開催されました。こちらは例年、東京や大阪などの大都市と並んで、沖縄でも開催されています。それほど沖縄県のビール文化が根強く、支持されていることがうかがえますね。 こんなことを書き出しているのでお分かりかもしれませんが、参加してきました。ただただお酒を飲みに行ったわけではありませんよ?取材です、、取材(夢中になり過ぎて、ここで載せる予定だった会場全体の写真を撮り忘れました)。このイベントでは、主に沖縄県の独自のビールが提供されており、珍しいビールも沢山ありました。沖縄県のビール文化に触れるには、まさにうってつけのイベントです。今回はこのイベントで提供されているビールから、沖縄県のビール文化に迫っていきます。
 こちらは冒頭でご紹介した、ゴーヤーを使ったビール、ヘリオスクラフトビールさんの「ゴーヤーDRY」です。すっきりとした喉ごしで、かすかに感じるゴーヤーの苦みも、ビールの味を邪魔することなく見事マッチングしていました。うだるような暑さの中で、キンキンに冷やして飲みたいビールです。沖縄県を代表する野菜として、ちゃんぷるーなどの料理だけでなく、ビールに使ってみることは、野菜としての可能性を感じさせ、観光客の目を惹くことのできる素敵な提供の在り方だと思いました。
 こちらは南ドイツのスタイルを模した、石垣島ビールの「ヴェイツェン」。泡立ちがよく、フルーティーな香りが特徴的です。石垣島ビールのこだわりは、ビール酵母を生きたまま提供していること。酵母はサプリメントにされるほど、栄養価が高いのです。しかし、一般の生ビールでは、酵母は取り除かれているのです。というのも、この酵母は生きたままにすると発酵が進み、長期保存ができず、大量生産して保管が難しいのだそうです。その点、地産地消のクラフトビールだからできる酒造法なのです。 サンゴとビール さて、本題のサンゴとビールです。単純にビールの中にサンゴが入っていたりするわけではありません。実は、意外な方法で関わっていました。
 こちらは、南都酒造所さんの正真正銘サンゴビール、「OKINAWA SANGO BEER ALT」です。このビールを作る、「水」に答えが隠されていました。 沖縄県の南城市には、サンゴ礁から生まれた鍾乳洞「玉泉洞」があります。そこからくみ上げられる水は、サンゴ礁が作り上げた石灰層を経由してくみ上げられるため、カルシウムやミネラルが豊富な水なのです。この南都酒造所さんは、ビールの9割を占める大事な素材である「水」にこだわり、この水を100%使用した「OKINAWA SANGO BEER」を提供しています。4種類ある中から、ALTというビールを頂きましたが、ほろ苦さと、口の中に広がる深い味わいが印象的でした。まさかビール造りにも、沖縄県はサンゴの恩恵にあずかっているとは衝撃でした。 文化を知ること 今回のイベントを通じて、沖縄県ではビール造りに対しても非常に地域の特性が見られることを再認識できました。観光の地域としてのイメージが強いだけに、未だ知られていない沖縄の文化を県外の方に認知してもらうことはなかなか難しいのかもしれません。ですが、県の人たちは県の特徴をうまく活用して、日々沖縄の良さを発信しています。 それは、環境問題としてのサンゴも同じです。サンゴになじみのない人にとっては、環境問題として騒がれていても、どうしても深く配慮することはできないと思います。今回ご紹介したビールという形のように、様々なルートや形でこれまでに係りがなかった人々が、地域の文化や問題に触れることが大切だと感じました。筆者自身、これからも、楽しく、(おいしく)、沖縄の魅力を発見していきたいと思いました。 執筆者 和泉 遼太郎