ニュースレター「サンゴ礁の自然環境」

2017年4月号

春の代名詞を知る ~沖縄と本土の桜の違いとは?~

2015年1月号

沖縄の潮間帯40年の変化

写真3 赤みの強いヒカンザクラ。花は鐘形で、下向きに咲くのも本種の特徴。 亜熱帯性サクラ特有の生態 サクラ類では、花芽(花となり、後に実となる芽)形成と開花にあたり、温度が重要な役割を担っています。ソメイヨシノを含む本土で一般的なサクラ類の場合、7月上旬に花芽が形成され始め、秋季から冬季にかけて休眠状態となります。冬季に一定以下の低温を経験すると休眠が解除され、休眠期から花芽発育期へ徐々に進行します。関東地方では、花芽形成が本格化されるのは、2月中旬以降とされています(青野 1993)。花芽形成が完了した上で、開花に必要な温度を経験した樹から順に花を咲かせ始め、気温が同じ地域ごとに短期間で同調開花します(篠原 1951; 張ら 2005)。気象庁が発表する「桜前線」では、桜の開花が毎年九州から北海道にかけて徐々に北上していく様子がわかります。これは、地域間の温度の違いを反映して、より暖かい九州の南部から順に開花に必要な温度に到達していくためです。 一方で、ヒカンザクラは中国南部や台湾原産の亜熱帯性のサクラ類で、日本原産のソメイヨシノとは少々異なる生態を持っています。ヒカンザクラでは、ソメイヨシノより2か月ほど遅い9月上旬に花芽が形成され始め、その後休眠状態に入ります。一定以下の低温を経験すると休眠状態が解除されて、開花に必要な温度を感じると花を咲かせます。一見するとソメイヨシノと違いがないように思えますね?しかし実際には、張ら(2005)が、ヒカンザクラの開花に至るメカニズムがソメイヨシノと同じながら、ヒカンザクラは花芽発育がとても速いことを明らかにしています。ヒカンザクラは休眠を終えると開花の準備を再開しますが、花芽形成の完了、すなわち開花の準備が整うまでが、ソメイヨシノよりも早いのです。また、亜熱帯性サクラ類であるヒカンザクラは、開花に必要な温度がそれほど高くないため、1月や2月の沖縄でも最適温度になります。こういった亜熱帯性特有の生態を持つヒカンザクラだからこそ、ソメイヨシノよりも早く見ごろを迎えるのです。 沖縄では寒い場所から順番に開花? 本土の「桜前線」は、九州を始点に「北上」することが広く知られていますが、沖縄の「桜前線」は正反対に沖縄県内を「南下」することをご存知でしょうか?沖縄の桜は北部から南部、山地では標高が高い場所から低い場所の順に開花します。この現象は学術的にも議論されており、上里ら(2002)も、沖縄におけるヒカンザクラの開花は南下すると述べています。上述したように、ヒカンザクラは休眠状態が解除されてから開花の準備が整うまであっという間です。また、ヒカンザクラの開花に必要な温度は低く、沖縄の1月や2月でも開花の最適温度になります。つまり、休眠解除の低温条件を先にクリアした個体(=より寒い地点に植えられた個体)から順番に開花することで同調性にずれが生じるのです!そのため、沖縄では北部や標高の高い山地から順に、緋色のヒカンザクラが咲きます。 今回は「桜」という、身近な生物に注目してみました。桜は昔から春の代名詞とも言われており、花見や桜餅など、日本の文化にも深く根付いています。上述した通り、沖縄と本土で見られる桜は異なります。ただ、季節や月日は違えども、沖縄でも桜まつりや桜餅を食す文化はしっかりと根付いています。日本では「季節」、「文化」、「生物」が深く絡み合っており、これは桜に限ったものではありません。季節や日本独自の文化から、生物に注目してみてください。きっと、面白い歴史や興味深い事実などを見つけ、学ぶ事ができると思います。 引用文献 青野靖之. 1993. 温度変換日数法によるソメイヨシノの開花に関する気候学的研究. 大阪府立大学紀要 農学・生命科学 Vol.45 上里健次, 安谷屋信一, 米盛重保. 2002. ヒカンザクラの開花の早晩性における地域間差、個体間差. 琉球大学農学部学術報告 49: 15-23 Katsuki T and Iketani H. 2016. Nomenclature of Tokyo cherry (Cerasus × yedoensis 'Somei-yoshino', Rosaceae) and allied interspecific hybrids based on recent advances in population genetics. Taxon, Volume 65, Number 6: pp. 1415-1419(5) 篠原久男, 1951. 気温がソメイヨシノの開花日に影響する時期. 農業気象Vol. 7, (1): p19-20 張 琳, 米盛重保, 上里健次. 2005. ヒカンザクラの開花時期、期間、花色濃度における個体間差と花芽形成に関する調査研究. 琉球大学農学部学術報告 52: 41-48 執筆者 久保村 俊己
春の代名詞を知る ~沖縄と本土の桜の違いとは?~
 4月になり、いよいよ新年度が始まりました!私事ですが、大学院の博士前期課程2年に進み、今年度で修士学生として最後の年になります。皆さんも目標を決めて、実りある一年にしましょう! ところで、2月4日の「立春」から二か月が経過し、暦上では春も終盤に差し掛かっています。皆さん、今年はどんな時に「春」を実感しましたか?私は先日、千葉に行く機会があったのですが、満開の桜を見て「春」を実感しました(写真1)。私のように、桜を見て春を感じる人も多いのではないでしょうか?しかし、ここ沖縄では、満開の桜が見られるようになるのは4月ではなく、そのふた月以上も早い2月頃であることをご存知でしたか?なぜ、沖縄の桜は本土と比べ、こんなにも開花が早いのでしょうか?そこで、今回は桜をテーマに、沖縄の桜と本土の桜の違いに注目してみましょう。

写真1 千葉県内の公園で咲き誇る桜。ちょうど満開だった4月上旬に撮影。

桜の見ごろはいつ? 桜の見ごろは、都道府県や地域によって異なることは周知の事実です。例年、九州では3月下旬から4月上旬、関東甲信越では4月上旬から4月中旬、北海道では5月上旬に満開を迎えます。年によって多少の前後はありますが、今年(2017年)の関東甲信越における満開は、4月2日から10日頃であり、全国的に、ほぼ例年通りの見ごろ時期となったようです(気象庁HP:http://www.data.jma.go.jp/sakura/data/sakura_mankai.html)。 今年の沖縄における満開時期はいつ頃だったかと言うと、前述しましたが、1月末から2月上旬には満開になった場所が多かったです。私が今年の1月末に沖縄本島の北部に位置する本部町で開催された「八重岳桜まつり」に足を運んだ際には、桜がすでに6~7分咲きでした(写真2)。

写真2 八重岳山頂付近にて撮影。撮影日は1月28日。

 では、何が原因で桜の開花や満開時期に差が生まれるのでしょうか? ソメイヨシノとヒカンザクラ “桜”は九州から北海道まで、今や都市部を含めた日本各地で見る事ができますが、その多くが「ソメイヨシノ Cerasus × yedoensis ‘Somei-yoshino’」という種類です。一方、沖縄で一般的に“桜”と呼ばれているのは、「ヒカンザクラ Prunus campanulata」という種類がほとんどで全くの別種です。では、ソメイヨシノとヒカンザクラについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。 ・ソメイヨシノ Cerasus × yedoensis ‘Somei-yoshino’ 生物学的には「サクラ類」はバラ科のサクラ属の樹木を指すのですが、昔から日本に自生していたのは9種だとされています。この9種の他に数多くの栽培種(作物や植栽種としての有効利用を目的に、掛け合わせや改良によって生まれた種)が存在するのですが、代表的な栽培種がソメイヨシノです。つまり、ソメイヨシノは植栽のために作り出された種なのです。学名に注目すると分かるのですが、Cerasus × yedoensisという部分は「Cerasus=エドヒガン」と「yedoensis=オオシマザクラ」を掛け合わせた雑種であることを示し、‘Somei-yoshino’ という部分はソメイヨシノという栽培種であることを示しています。これらの事実は、ソメイヨシノの形態(花の色や形、若葉の色など)および分子遺伝学的データを基に、国立研究開発法人 森林総合研究所と岡山大学の共同研究によって証明されています(Katsuki and Iketani 2016)。 ・ヒカンザクラ Prunus campanulata ヒカンザクラは中国南部や台湾が原産地とされていますが、古くから沖縄に導入されており、また石垣島にも自生していたと言われています(張ら 2005)。花の色が濃く緋色を連想させることと、寒い時期に開花することから「緋寒桜(ヒカンザクラ)」という和名がついたと言われています(写真3)。寒緋桜(カンヒザクラ)という別称でよばれることもありますが、これはヒガンザクラと混同しないためという説や、ヒカンが「悲観」という言葉を連想し縁起が悪いためなど、諸説あります。

写真3 赤みの強いヒカンザクラ。花は鐘形で、下向きに咲くのも本種の特徴。

亜熱帯性サクラ特有の生態 サクラ類では、花芽(花となり、後に実となる芽)形成と開花にあたり、温度が重要な役割を担っています。ソメイヨシノを含む本土で一般的なサクラ類の場合、7月上旬に花芽が形成され始め、秋季から冬季にかけて休眠状態となります。冬季に一定以下の低温を経験すると休眠が解除され、休眠期から花芽発育期へ徐々に進行します。関東地方では、花芽形成が本格化されるのは、2月中旬以降とされています(青野 1993)。花芽形成が完了した上で、開花に必要な温度を経験した樹から順に花を咲かせ始め、気温が同じ地域ごとに短期間で同調開花します(篠原 1951; 張ら 2005)。気象庁が発表する「桜前線」では、桜の開花が毎年九州から北海道にかけて徐々に北上していく様子がわかります。これは、地域間の温度の違いを反映して、より暖かい九州の南部から順に開花に必要な温度に到達していくためです。 一方で、ヒカンザクラは中国南部や台湾原産の亜熱帯性のサクラ類で、日本原産のソメイヨシノとは少々異なる生態を持っています。ヒカンザクラでは、ソメイヨシノより2か月ほど遅い9月上旬に花芽が形成され始め、その後休眠状態に入ります。一定以下の低温を経験すると休眠状態が解除されて、開花に必要な温度を感じると花を咲かせます。一見するとソメイヨシノと違いがないように思えますね?しかし実際には、張ら(2005)が、ヒカンザクラの開花に至るメカニズムがソメイヨシノと同じながら、ヒカンザクラは花芽発育がとても速いことを明らかにしています。ヒカンザクラは休眠を終えると開花の準備を再開しますが、花芽形成の完了、すなわち開花の準備が整うまでが、ソメイヨシノよりも早いのです。また、亜熱帯性サクラ類であるヒカンザクラは、開花に必要な温度がそれほど高くないため、1月や2月の沖縄でも最適温度になります。こういった亜熱帯性特有の生態を持つヒカンザクラだからこそ、ソメイヨシノよりも早く見ごろを迎えるのです。 沖縄では寒い場所から順番に開花? 本土の「桜前線」は、九州を始点に「北上」することが広く知られていますが、沖縄の「桜前線」は正反対に沖縄県内を「南下」することをご存知でしょうか?沖縄の桜は北部から南部、山地では標高が高い場所から低い場所の順に開花します。この現象は学術的にも議論されており、上里ら(2002)も、沖縄におけるヒカンザクラの開花は南下すると述べています。上述したように、ヒカンザクラは休眠状態が解除されてから開花の準備が整うまであっという間です。また、ヒカンザクラの開花に必要な温度は低く、沖縄の1月や2月でも開花の最適温度になります。つまり、休眠解除の低温条件を先にクリアした個体(=より寒い地点に植えられた個体)から順番に開花することで同調性にずれが生じるのです!そのため、沖縄では北部や標高の高い山地から順に、緋色のヒカンザクラが咲きます。 今回は「桜」という、身近な生物に注目してみました。桜は昔から春の代名詞とも言われており、花見や桜餅など、日本の文化にも深く根付いています。上述した通り、沖縄と本土で見られる桜は異なります。ただ、季節や月日は違えども、沖縄でも桜まつりや桜餅を食す文化はしっかりと根付いています。日本では「季節」、「文化」、「生物」が深く絡み合っており、これは桜に限ったものではありません。季節や日本独自の文化から、生物に注目してみてください。きっと、面白い歴史や興味深い事実などを見つけ、学ぶ事ができると思います。 引用文献 青野靖之. 1993. 温度変換日数法によるソメイヨシノの開花に関する気候学的研究. 大阪府立大学紀要 農学・生命科学 Vol.45 上里健次, 安谷屋信一, 米盛重保. 2002. ヒカンザクラの開花の早晩性における地域間差、個体間差. 琉球大学農学部学術報告 49: 15-23 Katsuki T and Iketani H. 2016. Nomenclature of Tokyo cherry (Cerasus × yedoensis 'Somei-yoshino', Rosaceae) and allied interspecific hybrids based on recent advances in population genetics. Taxon, Volume 65, Number 6: pp. 1415-1419(5) 篠原久男, 1951. 気温がソメイヨシノの開花日に影響する時期. 農業気象Vol. 7, (1): p19-20 張 琳, 米盛重保, 上里健次. 2005. ヒカンザクラの開花時期、期間、花色濃度における個体間差と花芽形成に関する調査研究. 琉球大学農学部学術報告 52: 41-48 執筆者 久保村 俊己
春の代名詞を知る ~沖縄と本土の桜の違いとは?~
 4月になり、いよいよ新年度が始まりました!私事ですが、大学院の博士前期課程2年に進み、今年度で修士学生として最後の年になります。皆さんも目標を決めて、実りある一年にしましょう! ところで、2月4日の「立春」から二か月が経過し、暦上では春も終盤に差し掛かっています。皆さん、今年はどんな時に「春」を実感しましたか?私は先日、千葉に行く機会があったのですが、満開の桜を見て「春」を実感しました(写真1)。私のように、桜を見て春を感じる人も多いのではないでしょうか?しかし、ここ沖縄では、満開の桜が見られるようになるのは4月ではなく、そのふた月以上も早い2月頃であることをご存知でしたか?なぜ、沖縄の桜は本土と比べ、こんなにも開花が早いのでしょうか?そこで、今回は桜をテーマに、沖縄の桜と本土の桜の違いに注目してみましょう。
桜の見ごろはいつ? 桜の見ごろは、都道府県や地域によって異なることは周知の事実です。例年、九州では3月下旬から4月上旬、関東甲信越では4月上旬から4月中旬、北海道では5月上旬に満開を迎えます。年によって多少の前後はありますが、今年(2017年)の関東甲信越における満開は、4月2日から10日頃であり、全国的に、ほぼ例年通りの見ごろ時期となったようです(気象庁HP:http://www.data.jma.go.jp/sakura/data/sakura_mankai.html)。 今年の沖縄における満開時期はいつ頃だったかと言うと、前述しましたが、1月末から2月上旬には満開になった場所が多かったです。私が今年の1月末に沖縄本島の北部に位置する本部町で開催された「八重岳桜まつり」に足を運んだ際には、桜がすでに6~7分咲きでした(写真2)。
 では、何が原因で桜の開花や満開時期に差が生まれるのでしょうか? ソメイヨシノとヒカンザクラ “桜”は九州から北海道まで、今や都市部を含めた日本各地で見る事ができますが、その多くが「ソメイヨシノ Cerasus × yedoensis ‘Somei-yoshino’」という種類です。一方、沖縄で一般的に“桜”と呼ばれているのは、「ヒカンザクラ Prunus campanulata」という種類がほとんどで全くの別種です。では、ソメイヨシノとヒカンザクラについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。 ・ソメイヨシノ Cerasus × yedoensis ‘Somei-yoshino’ 生物学的には「サクラ類」はバラ科のサクラ属の樹木を指すのですが、昔から日本に自生していたのは9種だとされています。この9種の他に数多くの栽培種(作物や植栽種としての有効利用を目的に、掛け合わせや改良によって生まれた種)が存在するのですが、代表的な栽培種がソメイヨシノです。つまり、ソメイヨシノは植栽のために作り出された種なのです。学名に注目すると分かるのですが、Cerasus × yedoensisという部分は「Cerasus=エドヒガン」と「yedoensis=オオシマザクラ」を掛け合わせた雑種であることを示し、‘Somei-yoshino’ という部分はソメイヨシノという栽培種であることを示しています。これらの事実は、ソメイヨシノの形態(花の色や形、若葉の色など)および分子遺伝学的データを基に、国立研究開発法人 森林総合研究所と岡山大学の共同研究によって証明されています(Katsuki and Iketani 2016)。 ・ヒカンザクラ Prunus campanulata ヒカンザクラは中国南部や台湾が原産地とされていますが、古くから沖縄に導入されており、また石垣島にも自生していたと言われています(張ら 2005)。花の色が濃く緋色を連想させることと、寒い時期に開花することから「緋寒桜(ヒカンザクラ)」という和名がついたと言われています(写真3)。寒緋桜(カンヒザクラ)という別称でよばれることもありますが、これはヒガンザクラと混同しないためという説や、ヒカンが「悲観」という言葉を連想し縁起が悪いためなど、諸説あります。
亜熱帯性サクラ特有の生態 サクラ類では、花芽(花となり、後に実となる芽)形成と開花にあたり、温度が重要な役割を担っています。ソメイヨシノを含む本土で一般的なサクラ類の場合、7月上旬に花芽が形成され始め、秋季から冬季にかけて休眠状態となります。冬季に一定以下の低温を経験すると休眠が解除され、休眠期から花芽発育期へ徐々に進行します。関東地方では、花芽形成が本格化されるのは、2月中旬以降とされています(青野 1993)。花芽形成が完了した上で、開花に必要な温度を経験した樹から順に花を咲かせ始め、気温が同じ地域ごとに短期間で同調開花します(篠原 1951; 張ら 2005)。気象庁が発表する「桜前線」では、桜の開花が毎年九州から北海道にかけて徐々に北上していく様子がわかります。これは、地域間の温度の違いを反映して、より暖かい九州の南部から順に開花に必要な温度に到達していくためです。 一方で、ヒカンザクラは中国南部や台湾原産の亜熱帯性のサクラ類で、日本原産のソメイヨシノとは少々異なる生態を持っています。ヒカンザクラでは、ソメイヨシノより2か月ほど遅い9月上旬に花芽が形成され始め、その後休眠状態に入ります。一定以下の低温を経験すると休眠状態が解除されて、開花に必要な温度を感じると花を咲かせます。一見するとソメイヨシノと違いがないように思えますね?しかし実際には、張ら(2005)が、ヒカンザクラの開花に至るメカニズムがソメイヨシノと同じながら、ヒカンザクラは花芽発育がとても速いことを明らかにしています。ヒカンザクラは休眠を終えると開花の準備を再開しますが、花芽形成の完了、すなわち開花の準備が整うまでが、ソメイヨシノよりも早いのです。また、亜熱帯性サクラ類であるヒカンザクラは、開花に必要な温度がそれほど高くないため、1月や2月の沖縄でも最適温度になります。こういった亜熱帯性特有の生態を持つヒカンザクラだからこそ、ソメイヨシノよりも早く見ごろを迎えるのです。 沖縄では寒い場所から順番に開花? 本土の「桜前線」は、九州を始点に「北上」することが広く知られていますが、沖縄の「桜前線」は正反対に沖縄県内を「南下」することをご存知でしょうか?沖縄の桜は北部から南部、山地では標高が高い場所から低い場所の順に開花します。この現象は学術的にも議論されており、上里ら(2002)も、沖縄におけるヒカンザクラの開花は南下すると述べています。上述したように、ヒカンザクラは休眠状態が解除されてから開花の準備が整うまであっという間です。また、ヒカンザクラの開花に必要な温度は低く、沖縄の1月や2月でも開花の最適温度になります。つまり、休眠解除の低温条件を先にクリアした個体(=より寒い地点に植えられた個体)から順番に開花することで同調性にずれが生じるのです!そのため、沖縄では北部や標高の高い山地から順に、緋色のヒカンザクラが咲きます。 今回は「桜」という、身近な生物に注目してみました。桜は昔から春の代名詞とも言われており、花見や桜餅など、日本の文化にも深く根付いています。上述した通り、沖縄と本土で見られる桜は異なります。ただ、季節や月日は違えども、沖縄でも桜まつりや桜餅を食す文化はしっかりと根付いています。日本では「季節」、「文化」、「生物」が深く絡み合っており、これは桜に限ったものではありません。季節や日本独自の文化から、生物に注目してみてください。きっと、面白い歴史や興味深い事実などを見つけ、学ぶ事ができると思います。 引用文献 青野靖之. 1993. 温度変換日数法によるソメイヨシノの開花に関する気候学的研究. 大阪府立大学紀要 農学・生命科学 Vol.45 上里健次, 安谷屋信一, 米盛重保. 2002. ヒカンザクラの開花の早晩性における地域間差、個体間差. 琉球大学農学部学術報告 49: 15-23 Katsuki T and Iketani H. 2016. Nomenclature of Tokyo cherry (Cerasus × yedoensis 'Somei-yoshino', Rosaceae) and allied interspecific hybrids based on recent advances in population genetics. Taxon, Volume 65, Number 6: pp. 1415-1419(5) 篠原久男, 1951. 気温がソメイヨシノの開花日に影響する時期. 農業気象Vol. 7, (1): p19-20 張 琳, 米盛重保, 上里健次. 2005. ヒカンザクラの開花時期、期間、花色濃度における個体間差と花芽形成に関する調査研究. 琉球大学農学部学術報告 52: 41-48 執筆者 久保村 俊己
春の代名詞を知る ~沖縄と本土の桜の違いとは?~
 4月になり、いよいよ新年度が始まりました!私事ですが、大学院の博士前期課程2年に進み、今年度で修士学生として最後の年になります。皆さんも目標を決めて、実りある一年にしましょう! ところで、2月4日の「立春」から二か月が経過し、暦上では春も終盤に差し掛かっています。皆さん、今年はどんな時に「春」を実感しましたか?私は先日、千葉に行く機会があったのですが、満開の桜を見て「春」を実感しました(写真1)。私のように、桜を見て春を感じる人も多いのではないでしょうか?しかし、ここ沖縄では、満開の桜が見られるようになるのは4月ではなく、そのふた月以上も早い2月頃であることをご存知でしたか?なぜ、沖縄の桜は本土と比べ、こんなにも開花が早いのでしょうか?そこで、今回は桜をテーマに、沖縄の桜と本土の桜の違いに注目してみましょう。
写真1 千葉県内の公園で咲き誇る桜。ちょうど満開だった4月上旬に撮影。 桜の見ごろはいつ? 桜の見ごろは、都道府県や地域によって異なることは周知の事実です。例年、九州では3月下旬から4月上旬、関東甲信越では4月上旬から4月中旬、北海道では5月上旬に満開を迎えます。年によって多少の前後はありますが、今年(2017年)の関東甲信越における満開は、4月2日から10日頃であり、全国的に、ほぼ例年通りの見ごろ時期となったようです(気象庁HP:http://www.data.jma.go.jp/sakura/data/sakura_mankai.html)。 今年の沖縄における満開時期はいつ頃だったかと言うと、前述しましたが、1月末から2月上旬には満開になった場所が多かったです。私が今年の1月末に沖縄本島の北部に位置する本部町で開催された「八重岳桜まつり」に足を運んだ際には、桜がすでに6~7分咲きでした(写真2)。
 では、何が原因で桜の開花や満開時期に差が生まれるのでしょうか? ソメイヨシノとヒカンザクラ “桜”は九州から北海道まで、今や都市部を含めた日本各地で見る事ができますが、その多くが「ソメイヨシノ Cerasus × yedoensis ‘Somei-yoshino’」という種類です。一方、沖縄で一般的に“桜”と呼ばれているのは、「ヒカンザクラ Prunus campanulata」という種類がほとんどで全くの別種です。では、ソメイヨシノとヒカンザクラについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。 ・ソメイヨシノ Cerasus × yedoensis ‘Somei-yoshino’ 生物学的には「サクラ類」はバラ科のサクラ属の樹木を指すのですが、昔から日本に自生していたのは9種だとされています。この9種の他に数多くの栽培種(作物や植栽種としての有効利用を目的に、掛け合わせや改良によって生まれた種)が存在するのですが、代表的な栽培種がソメイヨシノです。つまり、ソメイヨシノは植栽のために作り出された種なのです。学名に注目すると分かるのですが、Cerasus × yedoensisという部分は「Cerasus=エドヒガン」と「yedoensis=オオシマザクラ」を掛け合わせた雑種であることを示し、‘Somei-yoshino’ という部分はソメイヨシノという栽培種であることを示しています。これらの事実は、ソメイヨシノの形態(花の色や形、若葉の色など)および分子遺伝学的データを基に、国立研究開発法人 森林総合研究所と岡山大学の共同研究によって証明されています(Katsuki and Iketani 2016)。 ・ヒカンザクラ Prunus campanulata ヒカンザクラは中国南部や台湾が原産地とされていますが、古くから沖縄に導入されており、また石垣島にも自生していたと言われています(張ら 2005)。花の色が濃く緋色を連想させることと、寒い時期に開花することから「緋寒桜(ヒカンザクラ)」という和名がついたと言われています(写真3)。寒緋桜(カンヒザクラ)という別称でよばれることもありますが、これはヒガンザクラと混同しないためという説や、ヒカンが「悲観」という言葉を連想し縁起が悪いためなど、諸説あります。
亜熱帯性サクラ特有の生態 サクラ類では、花芽(花となり、後に実となる芽)形成と開花にあたり、温度が重要な役割を担っています。ソメイヨシノを含む本土で一般的なサクラ類の場合、7月上旬に花芽が形成され始め、秋季から冬季にかけて休眠状態となります。冬季に一定以下の低温を経験すると休眠が解除され、休眠期から花芽発育期へ徐々に進行します。関東地方では、花芽形成が本格化されるのは、2月中旬以降とされています(青野 1993)。花芽形成が完了した上で、開花に必要な温度を経験した樹から順に花を咲かせ始め、気温が同じ地域ごとに短期間で同調開花します(篠原 1951; 張ら 2005)。気象庁が発表する「桜前線」では、桜の開花が毎年九州から北海道にかけて徐々に北上していく様子がわかります。これは、地域間の温度の違いを反映して、より暖かい九州の南部から順に開花に必要な温度に到達していくためです。 一方で、ヒカンザクラは中国南部や台湾原産の亜熱帯性のサクラ類で、日本原産のソメイヨシノとは少々異なる生態を持っています。ヒカンザクラでは、ソメイヨシノより2か月ほど遅い9月上旬に花芽が形成され始め、その後休眠状態に入ります。一定以下の低温を経験すると休眠状態が解除されて、開花に必要な温度を感じると花を咲かせます。一見するとソメイヨシノと違いがないように思えますね?しかし実際には、張ら(2005)が、ヒカンザクラの開花に至るメカニズムがソメイヨシノと同じながら、ヒカンザクラは花芽発育がとても速いことを明らかにしています。ヒカンザクラは休眠を終えると開花の準備を再開しますが、花芽形成の完了、すなわち開花の準備が整うまでが、ソメイヨシノよりも早いのです。また、亜熱帯性サクラ類であるヒカンザクラは、開花に必要な温度がそれほど高くないため、1月や2月の沖縄でも最適温度になります。こういった亜熱帯性特有の生態を持つヒカンザクラだからこそ、ソメイヨシノよりも早く見ごろを迎えるのです。 沖縄では寒い場所から順番に開花? 本土の「桜前線」は、九州を始点に「北上」することが広く知られていますが、沖縄の「桜前線」は正反対に沖縄県内を「南下」することをご存知でしょうか?沖縄の桜は北部から南部、山地では標高が高い場所から低い場所の順に開花します。この現象は学術的にも議論されており、上里ら(2002)も、沖縄におけるヒカンザクラの開花は南下すると述べています。上述したように、ヒカンザクラは休眠状態が解除されてから開花の準備が整うまであっという間です。また、ヒカンザクラの開花に必要な温度は低く、沖縄の1月や2月でも開花の最適温度になります。つまり、休眠解除の低温条件を先にクリアした個体(=より寒い地点に植えられた個体)から順番に開花することで同調性にずれが生じるのです!そのため、沖縄では北部や標高の高い山地から順に、緋色のヒカンザクラが咲きます。 今回は「桜」という、身近な生物に注目してみました。桜は昔から春の代名詞とも言われており、花見や桜餅など、日本の文化にも深く根付いています。上述した通り、沖縄と本土で見られる桜は異なります。ただ、季節や月日は違えども、沖縄でも桜まつりや桜餅を食す文化はしっかりと根付いています。日本では「季節」、「文化」、「生物」が深く絡み合っており、これは桜に限ったものではありません。季節や日本独自の文化から、生物に注目してみてください。きっと、面白い歴史や興味深い事実などを見つけ、学ぶ事ができると思います。 引用文献 青野靖之. 1993. 温度変換日数法によるソメイヨシノの開花に関する気候学的研究. 大阪府立大学紀要 農学・生命科学 Vol.45 上里健次, 安谷屋信一, 米盛重保. 2002. ヒカンザクラの開花の早晩性における地域間差、個体間差. 琉球大学農学部学術報告 49: 15-23 Katsuki T and Iketani H. 2016. Nomenclature of Tokyo cherry (Cerasus × yedoensis 'Somei-yoshino', Rosaceae) and allied interspecific hybrids based on recent advances in population genetics. Taxon, Volume 65, Number 6: pp. 1415-1419(5) 篠原久男, 1951. 気温がソメイヨシノの開花日に影響する時期. 農業気象Vol. 7, (1): p19-20 張 琳, 米盛重保, 上里健次. 2005. ヒカンザクラの開花時期、期間、花色濃度における個体間差と花芽形成に関する調査研究. 琉球大学農学部学術報告 52: 41-48 執筆者 久保村 俊己
春の代名詞を知る ~沖縄と本土の桜の違いとは?~
 4月になり、いよいよ新年度が始まりました!私事ですが、大学院の博士前期課程2年に進み、今年度で修士学生として最後の年になります。皆さんも目標を決めて、実りある一年にしましょう! ところで、2月4日の「立春」から二か月が経過し、暦上では春も終盤に差し掛かっています。皆さん、今年はどんな時に「春」を実感しましたか?私は先日、千葉に行く機会があったのですが、満開の桜を見て「春」を実感しました(写真1)。私のように、桜を見て春を感じる人も多いのではないでしょうか?しかし、ここ沖縄では、満開の桜が見られるようになるのは4月ではなく、そのふた月以上も早い2月頃であることをご存知でしたか?なぜ、沖縄の桜は本土と比べ、こんなにも開花が早いのでしょうか?そこで、今回は桜をテーマに、沖縄の桜と本土の桜の違いに注目してみましょう。
桜の見ごろはいつ? 桜の見ごろは、都道府県や地域によって異なることは周知の事実です。例年、九州では3月下旬から4月上旬、関東甲信越では4月上旬から4月中旬、北海道では5月上旬に満開を迎えます。年によって多少の前後はありますが、今年(2017年)の関東甲信越における満開は、4月2日から10日頃であり、全国的に、ほぼ例年通りの見ごろ時期となったようです(気象庁HP:http://www.data.jma.go.jp/sakura/data/sakura_mankai.html)。 今年の沖縄における満開時期はいつ頃だったかと言うと、前述しましたが、1月末から2月上旬には満開になった場所が多かったです。私が今年の1月末に沖縄本島の北部に位置する本部町で開催された「八重岳桜まつり」に足を運んだ際には、桜がすでに6~7分咲きでした(写真2)。
 では、何が原因で桜の開花や満開時期に差が生まれるのでしょうか? ソメイヨシノとヒカンザクラ “桜”は九州から北海道まで、今や都市部を含めた日本各地で見る事ができますが、その多くが「ソメイヨシノ Cerasus × yedoensis ‘Somei-yoshino’」という種類です。一方、沖縄で一般的に“桜”と呼ばれているのは、「ヒカンザクラ Prunus campanulata」という種類がほとんどで全くの別種です。では、ソメイヨシノとヒカンザクラについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。 ・ソメイヨシノ Cerasus × yedoensis ‘Somei-yoshino’ 生物学的には「サクラ類」はバラ科のサクラ属の樹木を指すのですが、昔から日本に自生していたのは9種だとされています。この9種の他に数多くの栽培種(作物や植栽種としての有効利用を目的に、掛け合わせや改良によって生まれた種)が存在するのですが、代表的な栽培種がソメイヨシノです。つまり、ソメイヨシノは植栽のために作り出された種なのです。学名に注目すると分かるのですが、Cerasus × yedoensisという部分は「Cerasus=エドヒガン」と「yedoensis=オオシマザクラ」を掛け合わせた雑種であることを示し、‘Somei-yoshino’ という部分はソメイヨシノという栽培種であることを示しています。これらの事実は、ソメイヨシノの形態(花の色や形、若葉の色など)および分子遺伝学的データを基に、国立研究開発法人 森林総合研究所と岡山大学の共同研究によって証明されています(Katsuki and Iketani 2016)。 ・ヒカンザクラ Prunus campanulata ヒカンザクラは中国南部や台湾が原産地とされていますが、古くから沖縄に導入されており、また石垣島にも自生していたと言われています(張ら 2005)。花の色が濃く緋色を連想させることと、寒い時期に開花することから「緋寒桜(ヒカンザクラ)」という和名がついたと言われています(写真3)。寒緋桜(カンヒザクラ)という別称でよばれることもありますが、これはヒガンザクラと混同しないためという説や、ヒカンが「悲観」という言葉を連想し縁起が悪いためなど、諸説あります。
亜熱帯性サクラ特有の生態 サクラ類では、花芽(花となり、後に実となる芽)形成と開花にあたり、温度が重要な役割を担っています。ソメイヨシノを含む本土で一般的なサクラ類の場合、7月上旬に花芽が形成され始め、秋季から冬季にかけて休眠状態となります。冬季に一定以下の低温を経験すると休眠が解除され、休眠期から花芽発育期へ徐々に進行します。関東地方では、花芽形成が本格化されるのは、2月中旬以降とされています(青野 1993)。花芽形成が完了した上で、開花に必要な温度を経験した樹から順に花を咲かせ始め、気温が同じ地域ごとに短期間で同調開花します(篠原 1951; 張ら 2005)。気象庁が発表する「桜前線」では、桜の開花が毎年九州から北海道にかけて徐々に北上していく様子がわかります。これは、地域間の温度の違いを反映して、より暖かい九州の南部から順に開花に必要な温度に到達していくためです。 一方で、ヒカンザクラは中国南部や台湾原産の亜熱帯性のサクラ類で、日本原産のソメイヨシノとは少々異なる生態を持っています。ヒカンザクラでは、ソメイヨシノより2か月ほど遅い9月上旬に花芽が形成され始め、その後休眠状態に入ります。一定以下の低温を経験すると休眠状態が解除されて、開花に必要な温度を感じると花を咲かせます。一見するとソメイヨシノと違いがないように思えますね?しかし実際には、張ら(2005)が、ヒカンザクラの開花に至るメカニズムがソメイヨシノと同じながら、ヒカンザクラは花芽発育がとても速いことを明らかにしています。ヒカンザクラは休眠を終えると開花の準備を再開しますが、花芽形成の完了、すなわち開花の準備が整うまでが、ソメイヨシノよりも早いのです。また、亜熱帯性サクラ類であるヒカンザクラは、開花に必要な温度がそれほど高くないため、1月や2月の沖縄でも最適温度になります。こういった亜熱帯性特有の生態を持つヒカンザクラだからこそ、ソメイヨシノよりも早く見ごろを迎えるのです。 沖縄では寒い場所から順番に開花? 本土の「桜前線」は、九州を始点に「北上」することが広く知られていますが、沖縄の「桜前線」は正反対に沖縄県内を「南下」することをご存知でしょうか?沖縄の桜は北部から南部、山地では標高が高い場所から低い場所の順に開花します。この現象は学術的にも議論されており、上里ら(2002)も、沖縄におけるヒカンザクラの開花は南下すると述べています。上述したように、ヒカンザクラは休眠状態が解除されてから開花の準備が整うまであっという間です。また、ヒカンザクラの開花に必要な温度は低く、沖縄の1月や2月でも開花の最適温度になります。つまり、休眠解除の低温条件を先にクリアした個体(=より寒い地点に植えられた個体)から順番に開花することで同調性にずれが生じるのです!そのため、沖縄では北部や標高の高い山地から順に、緋色のヒカンザクラが咲きます。 今回は「桜」という、身近な生物に注目してみました。桜は昔から春の代名詞とも言われており、花見や桜餅など、日本の文化にも深く根付いています。上述した通り、沖縄と本土で見られる桜は異なります。ただ、季節や月日は違えども、沖縄でも桜まつりや桜餅を食す文化はしっかりと根付いています。日本では「季節」、「文化」、「生物」が深く絡み合っており、これは桜に限ったものではありません。季節や日本独自の文化から、生物に注目してみてください。きっと、面白い歴史や興味深い事実などを見つけ、学ぶ事ができると思います。 引用文献 青野靖之. 1993. 温度変換日数法によるソメイヨシノの開花に関する気候学的研究. 大阪府立大学紀要 農学・生命科学 Vol.45 上里健次, 安谷屋信一, 米盛重保. 2002. ヒカンザクラの開花の早晩性における地域間差、個体間差. 琉球大学農学部学術報告 49: 15-23 Katsuki T and Iketani H. 2016. Nomenclature of Tokyo cherry (Cerasus × yedoensis 'Somei-yoshino', Rosaceae) and allied interspecific hybrids based on recent advances in population genetics. Taxon, Volume 65, Number 6: pp. 1415-1419(5) 篠原久男, 1951. 気温がソメイヨシノの開花日に影響する時期. 農業気象Vol. 7, (1): p19-20 張 琳, 米盛重保, 上里健次. 2005. ヒカンザクラの開花時期、期間、花色濃度における個体間差と花芽形成に関する調査研究. 琉球大学農学部学術報告 52: 41-48 執筆者 久保村 俊己