ニュースレター「サンゴ礁の自然環境」

2015年4月号

カーミージーの海と浦添の人々

写真2.カーミージーの海にすむ生き物たち。(a) 海草藻場の様子、 (b) ヒメニッコウガイ、(c) ルリマダラシオマネキ、(d) クサイロカノコ ■海を活用する地域の人々 私がカーミージーの海を利用した時に印象的だったのは、海岸にやってくる地元の人たちです。海に遊びに来た親子連れ、犬の散歩がてらに立ち寄った人、貝を採りにきた人、漁網をもって夕飯のおかずを採りにきた人、友達と釣りをして遊ぶ子供たちなどなど、入れ替わり立ち代りで多くの人がカーミージーの海を利用していました。琉球王朝時代、この周辺の地域では屋取(やーどぅい)という都落ちした士族による集落が形成され、半農半漁の生活を営んだと言われています。昔の人も今と同じように夕飯のおかずを採りにカーミージーの海を訪れていたことでしょう。 また、カーミージーの海は地元の小学校にとって環境教育の場としても活用されています。毎年多くの小学生らが授業の一環で生き物観察や追い込み漁体験をし、校内で発表の場を設けているそうです。そして、この地元小学校が環境教育に活用していることを理由に、沿岸で進められていた道路建設に伴う海岸の埋め立て工事が縮小されました(写真3)。カーミージーの海を活用することで海岸の保全に役立つという良い事例になったようです。
写真3.沿岸で進む道路建設工事。すでに海岸の一部は埋め立てられた。  白い砂浜と青い海が広がるきれいな海岸も沖縄らしい風景の一つですが、昔も今も地域の人で賑わう海もまた、沖縄らしい風景だと思います。機会があればぜひ、カーミージーの海へ足を運んでみてください。 執筆者 仲栄真 礁
 沖縄県浦添市にある「カーミージーの海」と呼ばれる海岸をご存知でしょうか?この海岸をもつ浦添市は那覇市に隣接しており、人口密度が那覇市に次ぐ県内2位の都市となっています。カーミージーの海はそんな都市部に近接する自然海岸で、多くの地元住民が今も利用しています。昨年から私自身も何度か足を運ぶようになったので、今回はこのカーミージーの海がどのような海岸なのか、ご紹介したいと思います。 ■巨大な亀が見守る海 カーミージーの海は浦添市の西海岸に位置し、その沿岸には米軍の牧港補給基地(キャンプ・キンザー)があります。カーミージーの海は基地の裏手にあるので、あまり人目につかず、地元住民以外は知らない人がほとんどでしょう。この海岸の名前にある「カーミージー」とは、海岸の北端にある亀のように見える巨大な岩場の愛称であり、亀が海の方向を向いて佇んでいるように見えます(写真1)。そしてその亀が見守る海を最近では「カーミージーの海」と呼ぶようになったそうです。
写真1.ウミガメのように見える岩(カーミージー)。
 現在、この海岸に沿って道路建設が進められており、海岸の一部は埋め立てられてしまいました。また、この道路建設とは別に那覇軍港の移設や市が進める埋立事業も予定されており、今後さらに埋め立てが進むことになっています。そんなカーミージーの海には多種多様な生物が生息しており、それらを目当てに多くの地元住民が釣りや貝の採集にやってきます。それだけ豊かな自然環境が今も残っているのです。 ■カーミージーの豊かな自然 カーミージーの海が豊かなのには理由があります。カーミージーの海にはリュウキュウスガモやベニアマモ、ボウバアマモ、ウミヒルモといった海草(海に生息する種子植物の仲間)が多く生息しており、海草藻場と呼ばれる海草の集まりを形成しています(写真2a)。この海草藻場のはたらきとして、(1)海草の光合成による有機物の生産とCO2の吸収、(2)海草の根が張ることで地盤が安定化し、砂の流出を防止、(2)海の生物にとって良好な産卵場所、外敵から身を隠せる住処の提供、(4)窒素やリンの吸収による水質浄化が考えられています。このような海草藻場のはたらきにより、カーミージーの海は多種多様な生き物が生息できる環境となっているのです。 カーミージーの海に生息する生き物の中には、沖縄県において絶滅のおそれのある野生生物についてまとめた沖縄レッドデータブックに掲載されている生き物もいます。例えば、陽の光のように放射状に伸びた赤色の線が特徴的なヒメニッコウガイ(写真2b)や鮮やかな青色のまだら模様が目立つルリマダラシオマネキ(写真2c)、海草の葉の上に生息するクサイロカノコ(写真2d)などは生息環境が脅かされつつある種に適用される準絶滅危惧NTに分類されています。このような希少になりつつある生き物もカーミージーの海では見ることができます。
写真2.カーミージーの海にすむ生き物たち。(a) 海草藻場の様子、 (b) ヒメニッコウガイ、(c) ルリマダラシオマネキ、(d) クサイロカノコ
■海を活用する地域の人々 私がカーミージーの海を利用した時に印象的だったのは、海岸にやってくる地元の人たちです。海に遊びに来た親子連れ、犬の散歩がてらに立ち寄った人、貝を採りにきた人、漁網をもって夕飯のおかずを採りにきた人、友達と釣りをして遊ぶ子供たちなどなど、入れ替わり立ち代りで多くの人がカーミージーの海を利用していました。琉球王朝時代、この周辺の地域では屋取(やーどぅい)という都落ちした士族による集落が形成され、半農半漁の生活を営んだと言われています。昔の人も今と同じように夕飯のおかずを採りにカーミージーの海を訪れていたことでしょう。 また、カーミージーの海は地元の小学校にとって環境教育の場としても活用されています。毎年多くの小学生らが授業の一環で生き物観察や追い込み漁体験をし、校内で発表の場を設けているそうです。そして、この地元小学校が環境教育に活用していることを理由に、沿岸で進められていた道路建設に伴う海岸の埋め立て工事が縮小されました(写真3)。カーミージーの海を活用することで海岸の保全に役立つという良い事例になったようです。
写真3.沿岸で進む道路建設工事。すでに海岸の一部は埋め立てられた。  白い砂浜と青い海が広がるきれいな海岸も沖縄らしい風景の一つですが、昔も今も地域の人で賑わう海もまた、沖縄らしい風景だと思います。機会があればぜひ、カーミージーの海へ足を運んでみてください。 執筆者 仲栄真 礁
 沖縄県浦添市にある「カーミージーの海」と呼ばれる海岸をご存知でしょうか?この海岸をもつ浦添市は那覇市に隣接しており、人口密度が那覇市に次ぐ県内2位の都市となっています。カーミージーの海はそんな都市部に近接する自然海岸で、多くの地元住民が今も利用しています。昨年から私自身も何度か足を運ぶようになったので、今回はこのカーミージーの海がどのような海岸なのか、ご紹介したいと思います。 ■巨大な亀が見守る海 カーミージーの海は浦添市の西海岸に位置し、その沿岸には米軍の牧港補給基地(キャンプ・キンザー)があります。カーミージーの海は基地の裏手にあるので、あまり人目につかず、地元住民以外は知らない人がほとんどでしょう。この海岸の名前にある「カーミージー」とは、海岸の北端にある亀のように見える巨大な岩場の愛称であり、亀が海の方向を向いて佇んでいるように見えます(写真1)。そしてその亀が見守る海を最近では「カーミージーの海」と呼ぶようになったそうです。
写真1.ウミガメのように見える岩(カーミージー)。
 現在、この海岸に沿って道路建設が進められており、海岸の一部は埋め立てられてしまいました。また、この道路建設とは別に那覇軍港の移設や市が進める埋立事業も予定されており、今後さらに埋め立てが進むことになっています。そんなカーミージーの海には多種多様な生物が生息しており、それらを目当てに多くの地元住民が釣りや貝の採集にやってきます。それだけ豊かな自然環境が今も残っているのです。 ■カーミージーの豊かな自然 カーミージーの海が豊かなのには理由があります。カーミージーの海にはリュウキュウスガモやベニアマモ、ボウバアマモ、ウミヒルモといった海草(海に生息する種子植物の仲間)が多く生息しており、海草藻場と呼ばれる海草の集まりを形成しています(写真2a)。この海草藻場のはたらきとして、(1)海草の光合成による有機物の生産とCO2の吸収、(2)海草の根が張ることで地盤が安定化し、砂の流出を防止、(2)海の生物にとって良好な産卵場所、外敵から身を隠せる住処の提供、(4)窒素やリンの吸収による水質浄化が考えられています。このような海草藻場のはたらきにより、カーミージーの海は多種多様な生き物が生息できる環境となっているのです。 カーミージーの海に生息する生き物の中には、沖縄県において絶滅のおそれのある野生生物についてまとめた沖縄レッドデータブックに掲載されている生き物もいます。例えば、陽の光のように放射状に伸びた赤色の線が特徴的なヒメニッコウガイ(写真2b)や鮮やかな青色のまだら模様が目立つルリマダラシオマネキ(写真2c)、海草の葉の上に生息するクサイロカノコ(写真2d)などは生息環境が脅かされつつある種に適用される準絶滅危惧NTに分類されています。このような希少になりつつある生き物もカーミージーの海では見ることができます。
写真2.カーミージーの海にすむ生き物たち。(a) 海草藻場の様子、 (b) ヒメニッコウガイ、(c) ルリマダラシオマネキ、(d) クサイロカノコ ■海を活用する地域の人々 私がカーミージーの海を利用した時に印象的だったのは、海岸にやってくる地元の人たちです。海に遊びに来た親子連れ、犬の散歩がてらに立ち寄った人、貝を採りにきた人、漁網をもって夕飯のおかずを採りにきた人、友達と釣りをして遊ぶ子供たちなどなど、入れ替わり立ち代りで多くの人がカーミージーの海を利用していました。琉球王朝時代、この周辺の地域では屋取(やーどぅい)という都落ちした士族による集落が形成され、半農半漁の生活を営んだと言われています。昔の人も今と同じように夕飯のおかずを採りにカーミージーの海を訪れていたことでしょう。 また、カーミージーの海は地元の小学校にとって環境教育の場としても活用されています。毎年多くの小学生らが授業の一環で生き物観察や追い込み漁体験をし、校内で発表の場を設けているそうです。そして、この地元小学校が環境教育に活用していることを理由に、沿岸で進められていた道路建設に伴う海岸の埋め立て工事が縮小されました(写真3)。カーミージーの海を活用することで海岸の保全に役立つという良い事例になったようです。
写真3.沿岸で進む道路建設工事。すでに海岸の一部は埋め立てられた。  白い砂浜と青い海が広がるきれいな海岸も沖縄らしい風景の一つですが、昔も今も地域の人で賑わう海もまた、沖縄らしい風景だと思います。機会があればぜひ、カーミージーの海へ足を運んでみてください。 執筆者 仲栄真 礁
 沖縄県浦添市にある「カーミージーの海」と呼ばれる海岸をご存知でしょうか?この海岸をもつ浦添市は那覇市に隣接しており、人口密度が那覇市に次ぐ県内2位の都市となっています。カーミージーの海はそんな都市部に近接する自然海岸で、多くの地元住民が今も利用しています。昨年から私自身も何度か足を運ぶようになったので、今回はこのカーミージーの海がどのような海岸なのか、ご紹介したいと思います。 ■巨大な亀が見守る海 カーミージーの海は浦添市の西海岸に位置し、その沿岸には米軍の牧港補給基地(キャンプ・キンザー)があります。カーミージーの海は基地の裏手にあるので、あまり人目につかず、地元住民以外は知らない人がほとんどでしょう。この海岸の名前にある「カーミージー」とは、海岸の北端にある亀のように見える巨大な岩場の愛称であり、亀が海の方向を向いて佇んでいるように見えます(写真1)。そしてその亀が見守る海を最近では「カーミージーの海」と呼ぶようになったそうです。
写真1.ウミガメのように見える岩(カーミージー)。
 現在、この海岸に沿って道路建設が進められており、海岸の一部は埋め立てられてしまいました。また、この道路建設とは別に那覇軍港の移設や市が進める埋立事業も予定されており、今後さらに埋め立てが進むことになっています。そんなカーミージーの海には多種多様な生物が生息しており、それらを目当てに多くの地元住民が釣りや貝の採集にやってきます。それだけ豊かな自然環境が今も残っているのです。 ■カーミージーの豊かな自然 カーミージーの海が豊かなのには理由があります。カーミージーの海にはリュウキュウスガモやベニアマモ、ボウバアマモ、ウミヒルモといった海草(海に生息する種子植物の仲間)が多く生息しており、海草藻場と呼ばれる海草の集まりを形成しています(写真2a)。この海草藻場のはたらきとして、(1)海草の光合成による有機物の生産とCO2の吸収、(2)海草の根が張ることで地盤が安定化し、砂の流出を防止、(2)海の生物にとって良好な産卵場所、外敵から身を隠せる住処の提供、(4)窒素やリンの吸収による水質浄化が考えられています。このような海草藻場のはたらきにより、カーミージーの海は多種多様な生き物が生息できる環境となっているのです。 カーミージーの海に生息する生き物の中には、沖縄県において絶滅のおそれのある野生生物についてまとめた沖縄レッドデータブックに掲載されている生き物もいます。例えば、陽の光のように放射状に伸びた赤色の線が特徴的なヒメニッコウガイ(写真2b)や鮮やかな青色のまだら模様が目立つルリマダラシオマネキ(写真2c)、海草の葉の上に生息するクサイロカノコ(写真2d)などは生息環境が脅かされつつある種に適用される準絶滅危惧NTに分類されています。このような希少になりつつある生き物もカーミージーの海では見ることができます。
写真2.カーミージーの海にすむ生き物たち。(a) 海草藻場の様子、 (b) ヒメニッコウガイ、(c) ルリマダラシオマネキ、(d) クサイロカノコ
■海を活用する地域の人々 私がカーミージーの海を利用した時に印象的だったのは、海岸にやってくる地元の人たちです。海に遊びに来た親子連れ、犬の散歩がてらに立ち寄った人、貝を採りにきた人、漁網をもって夕飯のおかずを採りにきた人、友達と釣りをして遊ぶ子供たちなどなど、入れ替わり立ち代りで多くの人がカーミージーの海を利用していました。琉球王朝時代、この周辺の地域では屋取(やーどぅい)という都落ちした士族による集落が形成され、半農半漁の生活を営んだと言われています。昔の人も今と同じように夕飯のおかずを採りにカーミージーの海を訪れていたことでしょう。 また、カーミージーの海は地元の小学校にとって環境教育の場としても活用されています。毎年多くの小学生らが授業の一環で生き物観察や追い込み漁体験をし、校内で発表の場を設けているそうです。そして、この地元小学校が環境教育に活用していることを理由に、沿岸で進められていた道路建設に伴う海岸の埋め立て工事が縮小されました(写真3)。カーミージーの海を活用することで海岸の保全に役立つという良い事例になったようです。
写真3.沿岸で進む道路建設工事。すでに海岸の一部は埋め立てられた。  白い砂浜と青い海が広がるきれいな海岸も沖縄らしい風景の一つですが、昔も今も地域の人で賑わう海もまた、沖縄らしい風景だと思います。機会があればぜひ、カーミージーの海へ足を運んでみてください。 執筆者 仲栄真 礁
 沖縄県浦添市にある「カーミージーの海」と呼ばれる海岸をご存知でしょうか?この海岸をもつ浦添市は那覇市に隣接しており、人口密度が那覇市に次ぐ県内2位の都市となっています。カーミージーの海はそんな都市部に近接する自然海岸で、多くの地元住民が今も利用しています。昨年から私自身も何度か足を運ぶようになったので、今回はこのカーミージーの海がどのような海岸なのか、ご紹介したいと思います。 ■巨大な亀が見守る海 カーミージーの海は浦添市の西海岸に位置し、その沿岸には米軍の牧港補給基地(キャンプ・キンザー)があります。カーミージーの海は基地の裏手にあるので、あまり人目につかず、地元住民以外は知らない人がほとんどでしょう。この海岸の名前にある「カーミージー」とは、海岸の北端にある亀のように見える巨大な岩場の愛称であり、亀が海の方向を向いて佇んでいるように見えます(写真1)。そしてその亀が見守る海を最近では「カーミージーの海」と呼ぶようになったそうです。
写真1.ウミガメのように見える岩(カーミージー)。
 現在、この海岸に沿って道路建設が進められており、海岸の一部は埋め立てられてしまいました。また、この道路建設とは別に那覇軍港の移設や市が進める埋立事業も予定されており、今後さらに埋め立てが進むことになっています。そんなカーミージーの海には多種多様な生物が生息しており、それらを目当てに多くの地元住民が釣りや貝の採集にやってきます。それだけ豊かな自然環境が今も残っているのです。 ■カーミージーの豊かな自然 カーミージーの海が豊かなのには理由があります。カーミージーの海にはリュウキュウスガモやベニアマモ、ボウバアマモ、ウミヒルモといった海草(海に生息する種子植物の仲間)が多く生息しており、海草藻場と呼ばれる海草の集まりを形成しています(写真2a)。この海草藻場のはたらきとして、(1)海草の光合成による有機物の生産とCO2の吸収、(2)海草の根が張ることで地盤が安定化し、砂の流出を防止、(2)海の生物にとって良好な産卵場所、外敵から身を隠せる住処の提供、(4)窒素やリンの吸収による水質浄化が考えられています。このような海草藻場のはたらきにより、カーミージーの海は多種多様な生き物が生息できる環境となっているのです。 カーミージーの海に生息する生き物の中には、沖縄県において絶滅のおそれのある野生生物についてまとめた沖縄レッドデータブックに掲載されている生き物もいます。例えば、陽の光のように放射状に伸びた赤色の線が特徴的なヒメニッコウガイ(写真2b)や鮮やかな青色のまだら模様が目立つルリマダラシオマネキ(写真2c)、海草の葉の上に生息するクサイロカノコ(写真2d)などは生息環境が脅かされつつある種に適用される準絶滅危惧NTに分類されています。このような希少になりつつある生き物もカーミージーの海では見ることができます。
写真2.カーミージーの海にすむ生き物たち。(a) 海草藻場の様子、 (b) ヒメニッコウガイ、(c) ルリマダラシオマネキ、(d) クサイロカノコ
■海を活用する地域の人々 私がカーミージーの海を利用した時に印象的だったのは、海岸にやってくる地元の人たちです。海に遊びに来た親子連れ、犬の散歩がてらに立ち寄った人、貝を採りにきた人、漁網をもって夕飯のおかずを採りにきた人、友達と釣りをして遊ぶ子供たちなどなど、入れ替わり立ち代りで多くの人がカーミージーの海を利用していました。琉球王朝時代、この周辺の地域では屋取(やーどぅい)という都落ちした士族による集落が形成され、半農半漁の生活を営んだと言われています。昔の人も今と同じように夕飯のおかずを採りにカーミージーの海を訪れていたことでしょう。 また、カーミージーの海は地元の小学校にとって環境教育の場としても活用されています。毎年多くの小学生らが授業の一環で生き物観察や追い込み漁体験をし、校内で発表の場を設けているそうです。そして、この地元小学校が環境教育に活用していることを理由に、沿岸で進められていた道路建設に伴う海岸の埋め立て工事が縮小されました(写真3)。カーミージーの海を活用することで海岸の保全に役立つという良い事例になったようです。
写真3.沿岸で進む道路建設工事。すでに海岸の一部は埋め立てられた。  白い砂浜と青い海が広がるきれいな海岸も沖縄らしい風景の一つですが、昔も今も地域の人で賑わう海もまた、沖縄らしい風景だと思います。機会があればぜひ、カーミージーの海へ足を運んでみてください。 執筆者 仲栄真 礁